26人が本棚に入れています
本棚に追加
「タイガーさん出てってから、
結構時間経ったよね~。
上手くいってるのかな?」
私は時計を見上げて言った。
「いや、師匠の事だ。
まだ告白してないのかも知れん。
恋愛に対してかなり弱い所が有る。
俺が中学生の頃、
俺を告白する相手に見立てて、
何回も告白すると言う、
告白の予行練習に、
付き合わされたりもした。」
守屋は宙を見上げて言い、
「その告白の後、
師匠は沖縄に旅立った。
その次は九州・・・。
この前は四国に行った・・・。」
とさらに言葉を続けた。
「桜前線かっ!」
私は無意識の内にツッコミを入れてた。
「見た目は肉食系だけど、
中身は草食系男子か~。」
先輩がそう言ったのを受けて、
「師匠が肉食系男子だったら、
多分、有鐘は、
師匠の子供だらけだったろうな。」
守屋は恐ろしい事を言った。
冗談に聞こえないのが恐ろしい。
「おっ!メール来た!」
守屋の表情が明るくなり、
急いでスマホを取り出している。
「師匠からだ!」
来た!タイガーさんからメール来たぁ!
「どうだったの?」
先輩が守屋を急かす!
「待て待て!今、開く!
読むぞ~!
え~と、
鏡司、世話になったなありがとう。
しばらく北海道に旅行する事になった。
皆にもありがとうって言っといてくれ。
じゃあな。」
守屋が読み上げたメールを聞いて、
皆が落胆する。
「やっぱり・・・、
三十で無職はキツイのかもね。」
先輩がうつむいたまま言う。
「師匠・・・、
次は必ず大丈夫です。
次ダメなら北方領土ですからね。
北方領土には入れませんから、
次は大丈夫です!」
守屋はスマホ相手に正座をして、
そう言っていた。
「守屋・・・、
そう言う問題じゃないわよ・・・。」
守屋にツッコミを入れておいて、
私は窓から外を見た。
こんなに綺麗な満月の夜なのにな・・・。
バッドエンドか・・・。
最初のコメントを投稿しよう!