騎士の心得

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「タイガーさん出てってから、  結構時間経ったよね~。  上手くいってるのかな?」 私は時計を見上げて言った。 「いや、師匠の事だ。  まだ告白してないのかも知れん。  恋愛に対してかなり弱い所が有る。  俺が中学生の頃、  俺を告白する相手に見立てて、  何回も告白すると言う、  告白の予行練習に、  付き合わされたりもした。」 守屋は宙を見上げて言い、 「その告白の後、  師匠は沖縄に旅立った。  その次は九州・・・。  この前は四国に行った・・・。」 とさらに言葉を続けた。 「桜前線かっ!」 私は無意識の内にツッコミを入れてた。 「見た目は肉食系だけど、  中身は草食系男子か~。」 先輩がそう言ったのを受けて、 「師匠が肉食系男子だったら、  多分、有鐘(あるがね)は、  師匠の子供だらけだったろうな。」 守屋は恐ろしい事を言った。 冗談に聞こえないのが恐ろしい。 「おっ!メール来た!」 守屋の表情が明るくなり、 急いでスマホを取り出している。 「師匠からだ!」 来た!タイガーさんからメール来たぁ! 「どうだったの?」 先輩が守屋を()かす! 「待て待て!今、開く!  読むぞ~!  え~と、  鏡司、世話になったなありがとう。  しばらく北海道に旅行する事になった。  皆にもありがとうって言っといてくれ。  じゃあな。」  守屋が読み上げたメールを聞いて、 皆が落胆する。 「やっぱり・・・、  三十で無職はキツイのかもね。」 先輩がうつむいたまま言う。 「師匠・・・、  次は必ず大丈夫です。  次ダメなら北方領土ですからね。  北方領土には入れませんから、  次は大丈夫です!」 守屋はスマホ相手に正座をして、 そう言っていた。 「守屋・・・、  そう言う問題じゃないわよ・・・。」 守屋にツッコミを入れておいて、 私は窓から外を見た。 こんなに綺麗な満月の夜なのにな・・・。 バッドエンドか・・・。
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