幸せを願って

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披露宴は、ささやかに行われた。 僕と妻の両親は既に他界しているので、人数も決して多くはない。 それでも娘や彼の友人たちが、各地から集まって2人を祝福してくれた。 娘はウエディングドレス姿を嬉しそうに写真を撮ってもらっていた。 彼も友人に話しかけられ、照れ笑いを浮かべる。 友人たちがサプライズで作ってくれたというビデオレターは、素晴らしい出来だった。 娘の中学時代や高校時代の写真まで出てきて、懐かしい気持ちになる。 2人が周りの人に愛されていることがよく分かった。 感動的なムービーを観た後は、僕の出番。 舞台慣れしている娘とは違って僕はあがり症だ。 モーニングコートの内側に入った手紙。 何を書いていいか分からなくて、何度も何度も書き直したんだ。 伝えたい気持ちや言葉は数分なんかじゃ足りない。 名前を呼ばれて僕は立ち上がった。 拍手の中、二人の前まで歩いていく。 マイクを前にするとちょっと言葉が詰まった。 けど僕は、素直な気持ちを伝えようと思う。 「えー、2人とも。結婚おめでとう」 僕は娘の方に向き直る。 いたずらっぽく笑うのは、本当にあの頃から変わってないなあ。
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