もしも永遠があるならば

幸せを願って

鏡の前で、僕はネクタイを締め直す。
……モーニングコートはあんまり似合っていないなあ。

ロケットペンダントに入れた君の写真を眺める。

バージンロードで娘をエスコートするのはもうすぐだ。
緊張で、やたら喉が渇く。

いてもたってもいられなくて、部屋をぐるぐると歩き回る。

しばらくしてコンコンともう一度、ドアがノックされた。

「そろそろお時間ですのでこちらへお願いします」
スタッフさんに声を掛けられた。

教会の扉の前では娘が待っている。

やっぱり今日が、一番綺麗だ。

ああ、今日で結婚するのか。
嬉しさと寂しさが込み上げてくる。

「お父さん、今まででありがとね」

娘が目を潤ませる。

僕まで泣きそうになるじゃないか。

ありがとう、なんて僕の方が何倍も何倍も思っているんだから。

涙を堪える。

せめて今日くらい、かっこいい父親でいさせて欲しい。