貴族街

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「こっちの世界も便利で画期的な物もあるんだなぁ。」 ケントはボソッと独り言を言うと、ニコラスに 「ん?どうした?」 「ううん何でもない。」 と応えただけで終わった。 「さて、家具は買い終わったけどどうする?」 来たことない場所、それに貴族外では露店や屋台が見当たらなかった事に次どこに行こうかと悩んでいた。 「ちょっと行ったところにアイス屋があるんだよ!行ってみる? 前に来た勇者が色々教えていったらしいよ! まあ最後は病んじゃって大変だったらしいけど...。」 「リュカが言うなら美味しいだろうね。」 「なんでリュカが言うなら何だ?」 「前に理事長が王と謁見の時息子が大のスイーツ好きでっていうのを話していたのを聞いたから。 たまたまなんだけどね。」 疑問に思ったギルバートの質問にも、 相変わらず爽やかに微笑むウィリアムを見て王族だったと再認識する。 爽やかに微笑む以外の表情を見たことがない。 正しく言えば爽やかに微笑む中に喜怒哀楽が含まれているというか...。 それが王族ゆえのポーカーフェイスなのか...。 「その後は歩きながら屋台を物色し、買い食いしながら民の街に向かうのはどうだ?」 ここぞとばかりにギルバートが民の街に行くのも忘れんなよと念を押す。 それにセイヤはうんうんと縦に同意するように振る。 「分かってる。 じゃ、アイス屋案内して!!」 異世界に来てあっちの世界で食べていたものを食べれないかもしれないと思っていたが、こっちの世界でも食べれる、しかも久しぶりのアイスだ。 皆はそこまでの反応ではないが、ケントはワクワクと心躍らせていた。 このメンバーではニコラスだけがケントの生い立ちを知っている。 ケントに関してだけは穏やかで温かみのある笑みを今もまた浮かべていた。
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