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はじめて書いた『こぎつねコンの冒険』が全国中学生童話コンクールで大賞に選ばれ、5万円分の商品券と記念の盾をもらった。高校生になり、今度は大手企業が主催する童話賞に応募すると、優秀賞に選ばれた。
――なんだ、簡単じゃん。僕は作家になれる。そう思った。けれど、どうしたら入選するのか? 審査員の目に留まるストーリーとは、魅力的なキャラクターとはなにか? 考え始めると、しだいに何も思い浮かばなくなっていった。1日中ノートパソコンに向き合いながら、一文字も書けないことだってあった。
……このままでは、だめだ。僕は童話作家になりたい。だから、デビューしたら本がたくさん売れるような話を書かなくちゃ。売れるためには楽しい話を考えなくちゃ。……あれ?『楽しい』って、なんだっけ。僕はどうして童話を書いているんだっけ……?
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