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今日は特別な日だ。
僕はそんなことを考えている。
なぜ特別なのかって?
それはこれから僕が特別に「する」からだ。
日常を平和に過ごすこと。
毎日ご飯を美味しく食べられること。
仕事を、目一杯頑張れること。
テレビを見て笑えること。
清潔なシーツの上で眠ること。
そのどれもが本当は「当たり前の」日常ではない。
君と暮らし始めて、半年。
平和に過ごすというのは、コツがいる。
それは決して、簡単ではないのだ。
君には、本当は夢に描いたシーンがあるのかもしれない。
それは高層ビルで夜景を見ながらかもしれない。
ディズニーランドで花火を見上げながらかもしれない。
初めてのデートで行った公園で、あの時と同じボートに乗りながらかもしれない。
でも、今日は違うよ。
僕は君が仕事から帰って来るよりも早く、今日は部屋に帰る。
そして、君の好きなオムライスを作ろう。
冷蔵庫には、君の好きなお店のいちごのタルトを用意しよう。
僕は君に特別なシチュエーションを用意できていないのかもしれない。
でも、僕はこれからも君とこんな風に「日常」を過ごしていきたいんだ。
雨の日も、晴れの日も。
涙の日も、笑顔の日も。
調子が良い日も、悪い日も。
君と過ごす全てが、僕らの全てになるように。
僕は今日、なんでもないふりをしながら
オムライスを、作る。
なんでもないふりをしながら
いちごのタルトで君を喜ばせて
美味しい紅茶を淹れる。
そして、いつもより少し豪華なバスオイルで
お風呂にゆっくり入ろう。
そして、パジャマを着て、清潔なシーツの上で
さぁ、寝よう、今日も平和な日だった
君がそう思えるであろう瞬間に
僕は君に伝えるよ。
「結婚しよう」
小さなダイヤのついた指輪は
こっそり枕の下でスタンバイしている。
何でもない1日が終わりかけるその時に
僕は君にプロポーズをする。
これからの毎日を君と歩いていきたいと
君に伝える。
君はどう思うだろう?
もっと特別にしてよって、怒るかな?
でも、これが、ぼくの特別なんだ。
こんな日常を永遠に君と過ごしたい。
だから、何でもない1日の終わりに
君に伝えるよ。
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