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蒼葉と阿部は手を繋ぎ、足早に蒼葉の家まで向かっていた。
「ここ」
蒼葉が指す方に、大きな白い一軒家がある。
「お父さんお医者さん?」
「おじいちゃんが大きい病院やってた」
門をくぐると、家には入らず、敷地の奥にある小さな部屋へ向かった。
「ここ、俺の部屋なんだ」
「え??」
「おじいちゃんが倉庫に使ってたのを改装してもらった」
扉をあけると、簡素な部屋があらわれた。
「入って」
阿部を引きよせ、扉をしめると再び二人はキスを始めた。
「なんで家に住まないの?」
「…きゅうくつだから」
蒼葉はこれ以上触れられたくないとでもいうように阿部の服に手を入れ体をさぐった。
互いに息が上がり、阿部も蒼葉の股間へと手をのばすが蒼葉はそれを制した。
「何で??」
イタズラっぽく阿部は笑って、蒼葉の首筋を舐め上げた。力がゆるんだ蒼葉を見逃さず阿部は蒼葉の股間に触れた。
阿部の手には何の感触もなかった。蒼葉の体は反応を示していない。
戸惑ったが、再び阿部が蒼葉にキスを迫るが蒼葉はよけた。ベッドにくずれおちるように座り込む蒼葉。
「ごめん俺、出来ないんだ。ごめん…」
また、半年前の記憶が甦る。田中由莉奈の部屋に蒼葉は居た。その隣に、はだけた制服を着直す田中由莉奈。
「そういう日もあるよね」
と彼女は冷たく言い放った
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