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目には目を
翌日、五十嵐と彩香が迎えに来て、俊介は車に乗った。
優衣香は円華と英彦についているよう言い聞かせ、俊介は戦場へ向かう。
磯島がテレビの中継で何を言うのか、それを確認するために撮影現場であるオムライス専門店の休憩室でテレビを点けて、その時を待つ。
テーブルの上には小型のテレビが置いてあり、中継のカメラの映像を繋いでもらっていた。
どこかピリピリした空気が漂う中、野本によく似た男が画面中央に座っていた。
「野本さんの弟さんなんです」
彩香が言うと、納得できた。
世の中にあれほどのイケメンが早々居てたまるか。
同じ遺伝子を持っているなら納得もできる話だった。
「これから野本さんの弟の翔君が、磯島議員を追い詰めるようなことを言っていきます。おそらく、今日はたきつけるだけに留まると思いますが、必ず後で動きを見せます。メディアを使えば、視聴者も動きますから」
「視聴者はあの男に興味なんてあるんですか?」
「いえ。彼らが興味を抱くのは、そこにある真実です。磯島が何をやったのか、それによって誰がどれだけ傷ついたのか……」
どうやら世間の人々はそれほど他人に興味がないらしい。
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