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「なっ、てめぇ何すんだっ!」
無理矢理に、いわゆる「お姫様抱っこ」をされて、親父は赤い顔をさらに真っ赤にさせて怒鳴る。息が酒臭い。
「うるせえ黙れ酔っ払い。もうあんたにやられっ放しの俺じゃねぇんだよ。『老いては子に従え』って言うだろうが」
「俺はそこまで老いてねぇ…!」
「けど病気してんだろうが。いいかげん病院に行けっつの」
「そんな金ねぇだろうが!」
「親父の作った借金のせいでな。金は俺がどうにかするからとにかく病院に行け。酒やめてでも病院は行け」
「うるせぇ、病院病院言うんじゃねぇよ! だいたい、そんな金あるなら返済しろってむしり取られるのがオチだろーが!」
「俺が仕事増やしてでも稼ぐって言ってんだよ。酒買う金はあるのに病院は行けないっておかしいだろうが。そもそも、俺はあんたに死なれたら困る」
「何が困るってんだ! 俺が死ねば万々歳だろうが!」
親父がそう言って暴れるので、俺は腰を落として親父を下ろした。ちょうど居間にも着いたところだったし、暴れる親父を抱えるのも嫌だ。
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