スモーカー・ギャンブル

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──パタリと扉は閉まる。 嵐が過ぎ去った様に静けさを取り戻した部屋で、二人は同時に溜め息を吐いた。 「……アリカだったら、ああ言う奴に惚れるのかい?」 「さぁね でも、巳琴さんが男だとしても、多分無理だと思う」 煙管から上がる紫煙が揺れる。 火種を山へと落として、屑葉の山がまた火山になる。 アリカは煙管を机に置いてベットに座ると、両手で頬杖を突いてじっとメイルの方へと視線を向けた。 「あぁ言うのは趣味じゃないのよね、私」 「ああ言うの、と言うと どう言うのだい?」 「……メイル、私以上に察しが悪いってのはちょっと問題だと思うわ」 アリカの溜め息混じりな返答に、メイルは唇を尖らせ、そのどこか暗い影を落とした様な瞳に視線を突き刺す。 メイルは本を机に置き、ふわりと宙に浮いて羽根が漂う様にアリカの隣へと座った。 「なんだい、そのらしくもなく意味深な言い方は? そう言う風に勿体ぶってるのは、手前、好きじゃないんだが?」 「そう見える?」 「そう見えるさ」 メイルが自信ありげに応えると、アリカは両手を枕にして上半身ベッドへと投げた。 彼女はぼーっと天井を眺め、しばらくして、自身へ視線を向けたままのメイルと目を合わせる。 「フィリィさんの顔、見た?」 「フィリィの顔かい? そりゃもちろん でも、いつもの仏頂面じゃないか」 「……笑ってたわ いや、仏頂面だったけど、そう見えたのよ、私には」 アリカはフフッと笑って起き上がり、隣に座るメイルの頬をつついた。 「ちょ、何さアリカ!」 「いーえ 分かってない様だから教えてあげるけど──」 立ち上がる。 スッキリした面持ちのアリカはメイルの前に立ち、机に軽く腰掛けて彼女の不思議そうにしている幼顔を見下ろした。 「あれは、女の顔── だから、巳琴さんが男だとしても手を出したくない って、言ったのよ」 アリカはしたり顔でメイルの鼻を指先で突いた
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