晩夏の大博打

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「──あぁ、良い事を思い付いた さっきの、賭けで決めよう」 火の付いていない紙巻き煙草を咥えたまま、鬼はニッと笑みをメイドへ向けた 「そこの眠り姫が起きる前に、あの刻み香(きざみこう)の葉に点いてる火が…… 消えるかどうか── お前はどっちに賭ける?」 青紫の煙が鬼とメイドの間へと漂い、二人の眼差しが交差する 互いにのみ分かる言の葉、瞳のきらめき 青と黄の水晶玉がぎらりと揺れ、生唾を喉へと流す そして、戦いの火蓋はメイドの一言で始まった 「──火は、消えるわ」
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