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第1章 彩香の場合
わたし、中川彩香、26才
大学卒業してOL4年目
入社したてのころは、営業で頑張ってたけど、女子社員は補助的な仕事しかもらえず、若さでチヤホヤされる時もすぎ、いろんな面でスランプなお年頃だ。
「ただいまー、祥太、ハンバーガーにポテト、コーラ買ってきたよ」
あ、祥太って彼氏じゃないよ。姉の子供で、小学5年生。
土曜日はわたしを慕ってよく遊びにくるの、かわいい甥っ子です。
祥太はパソコンのゲームに夢中で返事もかえってこない。
「ほらほら、冷めたらおいしくないよ」
そう、わたしを慕ってるんじゃなく、わたしのところだとパソコンゲームを無制限でできるから
姉は、ゲームは一日1時間って決めていて、思いっきり遊べないらしい。
「う…ん、おばちゃん、ちょっとこれ代わって」
「え?おばちゃん?おばちゃんって言った?」
たしかに祥太からみたらおばさんだけど、まだ独身なんだから、おばさんって言葉にひっかかる。
「あ、ごめん、おねえちゃん、ここを押して」
おねえちゃんって言葉に気をよくして、祥太のところへ行った。
画面では、何人かのプレイヤーがいて、巨大なモンスターにむかって攻撃しているようだ。
「この、麒麟の体にマウスをずっとクリックし続けて」
「え?キリン?これが?」
「うん、幻のモンスター、なかなか現れないんだけど、メンバーにゴッドハンド覚えてる人がいたから出してくれたんだ。」
「ふーーん」
言ってる意味がぜんぜんわからないけど、ま、ここをクリックし続ければいいのね
言われたとおり、何度も何度もマウスでクリックし続けた。
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