終わった恋

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夜、姉が迎えにきて、祥太が帰っていった。 何の予定もない週末の夜は、むしょうに寂しくなるときがある。 彼氏とは、半年前に別れたばかり。 大学時代から付き合っていた彼は、社会人になって2年目の年に地方に転勤になり、それからは遠距離恋愛を続けていた。 最初のころはお互い毎週のように行ったりきたりしてたけど、それが2週間に1度になり、1か月に一度になり、そのうち、季節ごとに一度になっていった。 半年前のある日、わたしが彼の家に遊びにいったとき、洗面所を掃除しようと、洗面台の下をあけて掃除道具を探していると、見慣れないかわいい袋をみつけた。 開けてみると、ピンクの歯ブラシにコップ、女性用の化粧水や下地クリームなどが入っていた。 なんか、それを見たとたん、体の力がスーーッと抜けていく思いがした。 最近、休日出勤が多いとか言って、会える日をなかなか合わせられなかったのは、こういうことだったのかな、と思ったのと同時に、相変わらず、嘘が下手だなって思った。 そして、嘘が下手な彼が隠すとしたら・・・ と、ベッドの下を探ってみたら、100円ショップでよく見かけるビニールのバッグがあり、ファスナーを開いてみると、女性もののパジャマが出てきた。 ・・・・・・ ここまで隠すのが下手だと、笑えてくる。 わたしのパジャマや部屋着は、彼のクローゼットの一番下にある。 確認すると、そのまま置いてあった。 彼女がくるときは、わたしのパジャマがベッドの下になり、彼女のパジャマがクローゼットに格上げするのかな? いや、彼はそんなマメな人じゃないから、たぶん、そのまんまなんだろうな。 彼女はわたしの存在に気づいてるはず。 彼にはなんて言ってるんだろ。 でも、わたしのパジャマを勝手に使用されてるんじゃなくってよかった・・・ なんて、いろいろ考えていると、疲れてきた。
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