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俺は、どんどんネガティブな考えの深みにハマっていく。流星さんの気持ちが、よくわかる。分かってしまう。
幸せを夢見ていた日々。それが突然、目の前で崩れた瞬間の、喪失感。辛い、とか、寂しい、とか、そんな言葉なんかでは埋められない。
怖い。
怖い……。
「圭太さん?」
ふと、芹那の声がして我に返ると、目の前に芹那が立っていて、俺の肩に手を置いた。隣にいた原田先生は俺から離れて、
「飲み物を買ってこよう。芹那。ここ頼むよ」
と芹那に言うと、彼女は大きく頷いた。芹那は俺の前に両膝をついてしゃがみ込むと、握りしめていた俺の拳を両手でフワリと包み込んだ。
「大丈夫。大丈夫よ」
「芹那…」
「私は、ここにいるから」
芹那は優しくそう言って、俺のことを抱きしめてくれた。俺は、何がこんなに不安になっているのか、自分でもよく分からない。戸川先生と流星さん、由里さんの問題なのに、何故か俺は不安に駆られていた。
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