last episode 夢のカケラ

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* 由里はすぐに処置室から出てきたけれど、流星と戸川はそれぞれ手術が始まって、時間がかかっていた。 流星の弟はまだ大学生で、手術の待合室で由里のことを厳しく責め立てていた。芹那はそんな弟に歩み寄り、なんとかその場を宥めることはできたけれど、弟は由里を一生許さないと言い、激怒は変わらなかった。 数時間後、手術は無事に成功して、2人は別々の個室に運ばれて行った。 戸川先生は内出血がひどく、背中の打撲と右腕と右足の骨折、全治には2ヶ月ほどかかると医師に言われた。 流星の方は、逆に左腕と左足の打撲と骨折。左足には鉄管の破片が刺さっていて神経に達していたため、リハビリが必要だと言う。2人とも重傷ではあったけれど、生命に別状はなかった。 戸川の面会には、両親や友人たち、建築業者の鳶職人たち、それに事務所で働く柳沢などが日替わりにやってくる。が、流星は友人も少なくて、見舞いに来るのは弟だけだった。 由里は流星の病室の前まで行くが、扉を開ける勇気がなくてお見舞いも出来ずにいた。代わりに、芹那が流星の様子を見に行き、すっかり元気をなくして落ち込んでいた流星の様子を由里に伝えていた。 そうして、入院して10日ほど過ぎた日、由里は勇気を振り絞って、流星の病室に行った。
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