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二人の、縁。
芹那の笑顔。見つめる時の、眼差し。真面目に料理をしている時。ドSな表情。抱きしめてる時…。キスする時。甘く妖艶な声。
いつの間にか、こんなに芹那が俺の中に、いる。どれを一つとっても、無くしたくないものばかりだ。
俺は、涙が止めどなく溢れてくると、うううっと唸ってしまった。
「分かったろ?無くしたくないもの。お前たちに縁があるなら、離れちゃだめだ。離したら、だめだ!俺は、芹那ちゃんを信じるぜ。あの子は、お前が思うよりきっと、ずっと、強い」
「…滋…。わりぃ。ありがとう」
俺は電話を切って立ち上がり、寝室に飛び込んでコートを持つと、急いで家を飛び出した。今すぐ、この気持ちを伝えたい。芹那に、行かないでくれと伝えたい。
手遅れになる前に。
流星さんや戸川先生に同情はしてもいいけど、その気持ちに流されないでほしい。愛しているから。どうか、俺を信じてついてきてほしい。思いの丈を伝えなくては…。
そう思って急いで病院に行ったけれど、芹那の姿はなかった。
実家にも寄ったけれど、帰ってきていない。
携帯で呼び出しても、出ない。
LINEを送っても、既読になるが、返信はない。
何処だ?!
一気に疲れた。身も、心も。
意気込んで出て行ったのに、まさか芹那に会えずじまいになるとは…!
俺はドッと疲れて家に帰ってきて、玄関のドアを開けると、
「あ、おかえりなさい」
と、芹那はキッチンから顔をひょこっと出して言うと、俺は驚いて芹那を真っ直ぐ見つめた。
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