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芹那の言葉を聞いて、由里は3日ほど家を空けて出かけていた。何処に行ったのかは聞いていない。
入院している戸川と流星も、心配していた。が、数日後、由里はちゃんと帰ってきた。気持ちの整理をつけて。
「流星。あなたが好きよ。とても、大切な人。あなたを愛していたから、結婚したわ。でもね、一度心が離れてしまったら、もう戻れなかった。ごめんなさい。でも、あなたのことは変わらずに好きよ。それだけは、どうか忘れないで。恋人や妻にはもうなれないけれど、友達には、なれる。あなたの親友でいるわ。あなたは辛い?そんな私がそばにいること。でも、あなたが元気になってくれるなら、そばにいて励ましてあげることはできるわ。あなたは私のことを理解してくれたもの。流星のことも、私が理解してあげられるの。友達なら、一生離れることはないわ。流星。だから、もう悲観になったりしないで。一人じゃないからね」
由里はそう言って優しく微笑むと、流星はそんな由里を見て驚いて目を丸くしていたが、涙ぐんで笑って頷いた。
「ありがとう。それだけで、十分だよ。由里。戸川のところへ行きなさい。俺のことなんか、気にするな…。死ぬわけじゃないし、元気になるんだ。戸川と俺も、元の友達に戻れる。由里が俺のところに来たら、俺が戸川を永遠に失うよ。それも、嫌だ。大丈夫。俺は、乗り越えられるから」
流星がそう言うと、そこに戸川が車椅子でやってきた。芹那が車椅子を押している。戸川は優しく微笑み、
「流星。ごめん。由里と、結婚したいんだ。お前には、祝福してもらいたい。勝手なことを言ってるのは、分かってる。それでも、お前にだけは祝福してほしいんだ」
と言うと、流星は身を乗り出して涙ぐんだ。
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