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「馬鹿だな。もう、とっくに祝福してる。友達、だろ?」
と流星が笑いながら言うと、戸川と由里は顔を見合わせて嬉しそうに笑い合った。
「ありがとう!」
ありがとう。
そんな3人を見つめて、芹那も涙ぐんでいた。そして、芹那は3人に気を使うようにゆっくりと病室を出ていくと、廊下に圭太が立っていた。圭太は壁に寄りかかりながら芹那を見つめて、
「よかったな」
と言うと、芹那は大きく頷いた。
「うん。解決した。あとは…」
「あとは?」
芹那は圭太の右手を繋いで寄り添うと、圭太は左腕で芹那を抱きしめた。
「私たちの番ね」
二人は見つめ合い、微笑み合って、唇を重ねた。
「そういえばさ、前から思ってたけど、芹那って肝心な時でも、あんまり人の話聞かないよね」
唇が離れると、圭太はそう言いながら芹那の肩を抱いて歩き出した。
「え?…でも、よく言われる。そうかしら」
「うん。やっぱ、言われるか…。真剣に重要なこと話してるのに、全然違うこと考えてたりするよね。もしかして、さっきキスしてた時、何考えてた?」
「え?」
「…また関係ないこと考えてたんじゃ…」
圭太が芹那の顔を覗き込んで言うと、芹那はにこっと微笑んだ。
「今日、豚肉安い日なのよ。生姜焼きにしようかと……」
「キスしながら、夕飯のこと考えないで」
「え?だめ?」
芹那は不思議そうに圭太の裾を掴んで問いかけると、圭太は声を上げて笑った。
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