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「宅配だ、さっきの『おれの何が分かるおじさん』のチップが多過ぎてこっちのメンツが立たねえ。アレもお得意さんになっちまって、新作にしようとしてるのをサービスとして持って行け。そしてちゃんと怒らせて来ないとお前に駄賃はない」
「場所とタバコ一箱」
「場所はあの幽霊城だ」
「ふぅーっ。あんなとこに居るんだ、あの何が分かるおじさん!」
包装された緑酒を持った少女はポッケに安いタバコ一箱とお気に入りのジッポを入れて原付バイクを走らせる。幽霊城の噂はかねがね聞いていて怖いけど真っ昼間だし……あの何が分かるおじさんだし……と長い髪を風になびかせて、父の様な小言みたいに金を撒き散らかさせる台詞を考えながらアイアムはおっかなびっくりで居た。信号待ちでタバコに火を点けながら、女の私を普通行かすか? という思春期特有の自意識過剰が起こす疑問と共に、あのおじさんを怒らせてチップを貰えたとしても殴りかかってきたらお終いだろ
コッチには武器なんて……アイアムはどんどん不安になりながらも森の中を突っ走った。
「ここ……。すいませーん! 誰か居らっしゃいますかーっ!」
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