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俺は豪邸のよく手入れされた草木に身を潜めている。すると真っ白な高級車が豪邸前に停り、まずはボディガードがひとり降りてくる。次にターゲットが降り、更にもうひとりボディガードが降りてきた。
ボディガード達は辺りを警戒しているが俺の存在に気づいちゃいない。
そして俺のこの位置から見ればターゲットは狙いやすい。俺は狙いを定め、ターゲットを撃ち殺した。
パニック状態に陥るボディガード達。なんて約立たずなんだと嘲笑い、そいつらも撃ち殺す。
運転手はビビっているのか出てこない。それが賢明だ。
俺は豪邸を後にして歩いて10分ほどのバス停へ行く。
しばらく突っ立ってるとバスが来たので乗る。乗ってみれば客は少ない。
俺は一番奥の窓際に座った。
バスはゆっくり動き出す、人殺しを乗せたとも知らずに。
しばらくしてバスが停る。
ラフな服装の若造がリズムを刻みながら入ってきて俺の隣に座る。イヤホンからの音漏れが酷い。
若造は俺の膝の上に茶封筒と2つ折りのカードを置いた。
カードを広げて見る。
“よくやった、見事な腕前だ”
おそらくこの若造は依頼人に雇われたかなんかしたのだろう。そんなことはどうでもいいが。
若造は次のバス停へ降りた。
俺は若造が降りた2つ先のバス停で降りた。俺が降りようとすると、運転手は驚いてこちらを見る。
「お客さん、ここ廃墟しかないよ?」
「いいんです、こういう趣味なんで」
俺はポケットから“廃虚を歩く”という本を出して運転手に見せた。
「へぇ、最近の若者は変な趣味してんねぇ。まぁ気をつけて」
「ありがとうございます」
俺は愛嬌のある笑顔を浮かべて礼を言うと、バスから降りた。
そしてまっすぐ進む。
別に俺には運転手に言ったような趣味はない。
俺はただ、家に帰るだけだ。とち狂った同居人が住むとち狂った家に。
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