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佐倉は尚樹の真剣さを測るように目をじっと見つめてから、ふぅと一つ溜め息をついた。
「そっか、わかった。ただし、あまり無茶はしないようにね。ちゃんと気をつけるんだよ」
「ありがとうございます!」
尚樹がぺこりとお辞儀をすると、佐倉は戸棚から分厚いファイルを引っ張り出した。ぱらぱらと何枚かめくって見た後、メモ用紙に住所を書き写し始める。
その様子を見ながら、尚樹はふと、疑問に思った。何故この店のファイルにヤクザのフロント企業の住所が記載されているのだろう?
それに、考えてみればヤクザなどには全く縁がなさそうな佐倉がその会社の名前を知っていたこともひっかかる。
「店長、そのファイルって何なんですか?」
「ん? これは、ここの開店準備をしていた時の資料だよ。賃貸契約書とか店のレイアウト図とか、そういう初期のもろもろをまとめて挟んであるんだ」
「この『オーエスエヌ・コンサルティング』も、何か関係あるんですか?」
尚樹がメモに記された会社名を指差しながら訊ねると、佐倉は少し困ったように眉を顰めた。
「関係あるっていうか、ここら辺で商売してる店はこの会社に管理費を払っているところが多いと思うよ」
「管理費?」
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