果ての先に

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果ての先に

"そんなこともありましたね" 葵君がさらりと書いた。 この生活ももうすぐ1年が経とうとしている。葵君はルームシェアの際小さな荷物ひとつでやって来た。葵君はとても大人びている。文章も僕にはない美しさのようなものが帯びている。第一印象もやはり葵君は綺麗な子だと思った。ほとんど飛び出してきたようなものだと簡単に教えてもらった。興味がないと言えば嘘になるが、深追いは控えた。 "もうすぐルームシェアを始めて一年だけどお祝いでもする?葵君ケーキとか作れる?" "作れますよ。湊さん甘いもの好きですよね。じゃあショートケーキにしましょうか。" "やった。嬉しい。仕事も休みだし土曜日にでもしようか。僕も張り切って豪勢な料理を作るよ。" 僕も葵君も料理は初心者だったが、葵君は仕事で製菓を作るから料理の飲み込みも早かった。僕もやってみたら意外と面白かったから今では割りとレパートリーも増えて葵君も美味しいと誉めてくれるので作り甲斐がある。
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