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「患者に向かってそういう――」  ただでさえナイーブな部分の病でここへ来るまで葛藤だったり羞恥だったりで疲弊している心に、ぞんざいな言葉遣いが思いのほか刺さる。詰め寄ろうとした瞬間、受付にいた女性看護師が入ってきて部屋の片隅のカーテンをしゃっと音も高らかにひいた。 「はい、こちらにどうぞ~」  白いシーツのかかった診察台が現れる。さっきまで普通に会話していた部屋の片隅にそんなものが現れると、なんだかたじろぐ。 「ここで?」 「なんにも怖いことないですからね~」  子供にするように語りかけられる。小児科併設だからだろうか。自分が目に見えて子供のようにびびっているのだとは、思いたくなかった。  くそ。  覚悟を決めて診察台に上がった。 「はいベルトゆるめて壁の方向いて~。タオルおかけしますね。失礼しま~す」 「ぎゃ、」
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