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 なんで俺、こんなとんでもないかっこで泣いてんの。 「も、もう……」  患部の確認が終わったのだから、はやく開放して欲しい。 「見たところ軽度だが、他の病気の可能性もある。一応検査にも回すぞ」  そんな言葉にも、言われるままこくこく頷いた。いつの間にやら完全にタメ語になっているのに、憤る余裕ももはやない。  デスクのPCと連動しているらしいタブレットをのぞきこみながら、医師は「今日のところは薬を出しておく。うちは院内処方だから。使い方をよく読んで。あと悪化しないよう、食生活も改めろ。とりあえず、キムチ牛丼はしばらく禁止だ」と続けた。 「え」 「言っとくが粥ばっかりもだめだからな。出すものが足りなくて軟便になる。軟便が患部に触れるとばい菌が入るし、地獄のように痛い。脂っこい肉は避けて野菜中心、特に果物、茸類、海藻類をひとくち三十回よく噛んで喰え」 「し……仕事もあるのに、そんなの無理だ」  地獄のように痛い、という言葉におののきつつ、かろうじて抵抗を試みた。会社は勢いのある一部上場企業だが、駅前のビルのワンフロアを借りていて、社食はない。都心だけあって周辺に店はたくさんあるが、ランチメニューなんてほぼ脂っこい物と決まっている。 「まずは晩飯だけでもいい」     
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