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「もしかして、結婚記念日とお誕生日が一緒とか?」
「そうなんです。よくわかりましたね」
鋭い。いい女はすべてにおいて優れているんだな。
「やっぱり川村さん、素敵。女性にとって、そういうのって憧れだったりするんですよ。いいなあ。そうだ、あたし、いい案思いつきました。誕生石をあしらったアクセサリーとかどうですか?結婚記念日もお誕生日も、どちらもお祝いするって意味を込められるし。それにアメジストならそんなにお高くないと思うし、予算もあまり気にしなくて済むかも」
まるで答えを用意していたかのように、スムーズに出てくる。それにしても、初めて聞いた宝石の名前だった。宝飾関係の仕事でもしているのだろうか。
「アメジスト、ですか」
「二月の誕生石です。石言葉は高貴、とか誠実とかですね」
「へえ、知らなかった。随分詳しいんですね」
レイカは、頬をうっすらとピンクに染め、うふっと笑った。
「実は、あたしも二月生まれなんですよね」
「へえ、そうなんだ。何日?」
「二日。二が二つ並んでるんですよ」
真奈美が二十二日で、レイカが二日。なんという偶然だろう。覚えやすいのは助かるが混同しないように気をつけないといけない。「プレゼント、アメジストで何か探してみます。悩んでたんで助かりました」
「いいものが見つかるといいですね!ちなみにアメジストは、恋愛成就にもいいそうですよ」
成就って言ったって、オレと真奈美は既に夫婦なのに。女性は、恋に効くとかいうのが本当に好きだ。それとも、純粋にオレと真奈美の応援をしているってことなのだろか。より一層仲良くしてっていう意味の。それはそれでありがたいけれど、これだけの美人に他の女との応援をされるのも少し悔しい。あからさまに喰い気味の女は引いてしまうものの、レイカ程の女に興味を持ってもらえないっていうのも、魅力がないと言われているようで自己嫌悪に陥る。
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