1.川村強志

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 不自然にならないよう、いくつか会話のキャッチボールをしたあと、ああそうだ、と思い出したような素振りで、オレはカバンの中から小さな包みを取り出した。 「これ、こないだのお礼も兼ねて、誕生日プレゼント。たいしたものじゃないから、全然遠慮しないで」  レイカは一瞬驚いたが、促されて包みを開けるとすぐに白い歯をこぼした。 「いいの? なんか、あたしが催促したようになってしまってごめんなさい」 「そんなことないよ。相談に乗ってもらってすごく助かったから」 「ありがとう。すごく嬉しい! 早速着けてみるね」  長い髪を左側にまとめると首筋があらわになり、鎖骨がくっきりと浮かび上がる。思わず息をのんだ。首から肩にかけてのラインの美しさ、髪を集める仕草、何もかもがオレを誘惑しているかのようだ。どんな時も、小悪魔は決して手を緩めず、じわじわと誘い続ける。 「どう? 似合うかな」 「うん、想像していた通り。すごく似合ってるよ。良かった」  少しはにかんだあと、レイカはまっすぐオレを見つめた。 「ちょっとだけ奥様に嫉妬しちゃいました。こんな人が旦那様でいいなあって」     
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