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オレは昔から、欲しいものは必ず手に入れていた。ガキ大将のように人のものを横取りするというのではなく、おもちゃでもゲームでも、欲しいと思ったら自分の行動と結果をシミュレーションし、頭を使って入手する。ばあちゃんにねだったり、親の手伝いをしてお駄賃を貯めたり、友達と交換したりといろいろな方面からあらゆるルートを探す。とにかく確実に手に入れないと気が済まなかった。
この人を絶対誰にも渡したくない。すぐにその結論に至ったオレはいつものように思考を重ね、手間暇を惜しまなかった。そしてとうとう結婚までこぎつけることができた。あの日出会えたことは偶然だったけれど、妻として迎え入れることができたのはオレの努力のたまものなのだ。
そんな努力をしてまで、手に入れたかったほどの妻を持つオレに対して、「すっごい美人」とはあまりにありきたりな表現。そんなことでは簡単に食指が動かないというものだ。広田は自分が今からいかに高いハードルを越えようとしているのか、わかっているのだろうか。運動神経が悪そうだから、自分が越えられるか否か、それすらもわからないのだろう。
頼んでもいないのに、自分の携帯画面をこちらに向けると「この人」と右端の人物を指さした。一応目を落とし、指の先の女性を見る。差し出されたから仕方なく見ているという程度の軽い気持ちだった。
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