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彼女の死をすぐに知ることができたなら、どれだけ良かったことだろう。すぐに後を追うことができたなら、こじつけでありながらも一緒に死ぬということにできたかもしれない。
しかし、知ったときには既に長い月日が経過していた。何もかもが遅かったのだ。その間、もうすぐだと胸を躍らせていた自分の、なんと滑稽なことか。
ごめん。心の中で謝罪の言葉をつぶやく。もう何回繰り返しただろう、どれだけ繰り返してもあの日に戻れはしないというのに。有史はベンチに座ったまま俯き、両膝の上に腕を組んで、そこに額を押し当てる。そうやって何も見ずに謝ることしかできなかった。ごめん、真澄。
記憶のなかの彼女は、最後に会った小学生の姿のままだ。それでも当時からかなり整った顔立ちをしていたから、亡くなる前はきっと綺麗に成長していたことだろう。
彼女は怒っているだろうか。約束を守れなかった自分を責めているだろうか。そう考えると会わせる顔がなくて、墓参りにも行けそうにない。
お昼時で公園には誰もおらず、俯いたままでも誰かが気に掛けることはない。それがありがたかった。いま顔を上げようものなら、どうしようもないほどの胸の痛みでいまにも叫びだしてしまいそうだった。
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