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陽炎に、焦がれる。【その2】
そのスーパー銭湯は、
最寄り駅からシャトルバスが運行されていて、
私のような普段の交通手段が、
徒歩と公共交通機関を利用している者にとっては大助かりだった。
最寄り駅からは二十分かかる。
タクシーを利用してもおかしくない。
着けば、まるでホテルのようなフロントで、
美女二人が、応対してくれた。
もちろん私の美貌(びぼう)には敵(かな)わないけれど、ねッ。
渡されたキーには、IDがついていて、
館内の全ての施設の利用には、
このキーを提示すれば、ペイできる。
マネーレス。
精算は、帰るときに全て精算という仕組み。
ここまでハイテク化されたのか。
日本の近代化。
リノベーション。
2018年。平成ももう終わり。
まさに神だと思う。
三十年後の日本はどうなっているのだろうか?
想像してみるも私には、わからない範疇(はんちゅう)だった。
更衣室に行き、渡されたキーに記載された番号のロッカーの前に行く。
それは縦長の私の身長くらいあるローカーだった。
中を開ければ、クローゼットのようになっていて、
ハンガーも付いていた。
コートといった上着も、しわなく掛けられる。
さすがハイ・・・・・・。
衣服を脱ぎ、
ハンドタオルだけ持って、
浴室へて続く両開きの自動ドアを突き抜ける。
とたん、温められた熱気が、
白い湯気となって、
私のあらわになった全身を襲った。
そして、辺りを見回し、
適当な洗面する鏡台の仕切りの一区画に、腰を落とした。
それにしても・・・・・・、
(意外に私と同世代の子って多いんだ。)
私は、もっと、
高齢のおばあちゃんや主婦層を想定していたものだから、
あまりのガールズの多さに驚いていた。
私と変わらない、
それこそ、十代や二十代のガールズの姿がよく目立つ。
(けっこう来るもんなんだ。いまどきのガールズたちも。)
自分だけじゃないことに、
私は、ちょっとばかし嬉しくなった。
(続く。)
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