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今日は外が荒れている。家が揺れる。家ごと遠くまで飛ばされてしまいやしないかと心配している僕を尻目に彼女は今日も寝ている。目を開けたまま寝る。死んだように寝る。この頃には彼女が死んだら僕も死なないといけないような気がしており、まさか死んじゃいないかと、彼女の身体に触れると、微かだが確かに呼吸をしていて安堵する。いつも肌を寄せて寝ているくせに、この生存確認という建前で行うボディタッチに関しては、僅かばかりの気恥ずかしさと後ろめたさがあった。 ようやく家が落ち着きだして、外も明るくなって来た。暖かい日だった。僕は窓から顔を出して、外を眺める。前日まではなかった錆びた空き缶やら半分砕けた瓶やらが其処此処に散らばっていた。 「やあ。ひどい荒れようだったね」 ジョージが飯を食いながら僕に話しかけて来た。ジョージは誰がデザインしたか知らないが派手な装飾のついた深緑色の家に住んでいる。 「まったく。家ごと飛ばされなくてよかったよ」 「そだな。ところであの子は今日も寝てるのかい」 「うん」 「お前も“お人”好しだなあ。追い出しゃいいのさ」 僕は「いや、一緒に死のうと思ってる」なんて言いそうになって、口を閉じた。ジョージはかなりドライな奴だから、そんなこと言ったら馬鹿にされるだろうし、仲間たちに「とうとう奴は呆けてしまった」なんて言いふらされたら堪ったもんじゃない。家もないような半端ものと結婚する気はないんだけれど、このまま彼女と一緒に生き続けるのは、それはそれでありだと思っている今日この頃である。
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