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ざぶ。と大きな音がして、家が激しく揺れた。 「やべえ」 ジョージが見上げてそう叫ぶと、家に逃げ帰った。僕も家ごと逃げようとしたけれど、2人分の重さがある家はなかなか動かなかった。気づけばジョージは遠くに逃げていて、代わりに僕の目の前にはでかいサンダルを履いた足があった。 逃げるのは諦めて家に入って彼女をゆり起こす。 「ニンゲンだ! 捕まる!」 彼女はさっきまで寝てたくせにぱっと飛び起きて言った。 「私が死んだらあなたも死んでね」 「もちろんさ」 即答できた僕を誰か褒めて欲しい。彼女はにっこりと笑って、そのまま寝た。寝るんかい。わりと死にかけてると思うのだけど、彼女はいつも通りだった。それでいいのかもしれないし、そんな彼女が愛おしかったので、僕は少しでも彼女と過ごす時間が長くなるように、死ぬ気で家を動かすことにした。 家の出入り口から顔を出す。巨大な脚が2本立っている。波に揺さぶられることもなく錨みたいに不動。やがて上の方から水中メガネが降りて来て、その中の目が僕を見た。動けなかった。こんなに間近で見たことがなかったので。死ぬのかなあと思った。突然、僕の足が砂地を離れて身体が軽くなった。僕と彼女と家はそのまま上がっていって、とうとう海面から外へ出た。
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