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進路相談も始まり、いよいよ本格的に自分の進路を決めなくてはいけないが、麦と友美はまだ進学か就職か悩んでいた。
二人は進学したいという気持ちと、就職しないといけないという気持ちの狭間で揺れ動いていた。
麦は、キャンパスライフというものに強い憧れを抱いていた。また、それは同時に、大学生活を体験してみないと大学生を扱った小説が書けないのではないかという、半分強迫観念にも似た感覚に陥っていた。
担任からは「選り好みをせず、どこでもいいのなら」という条件でなら、大学進学の道もあるとは言われたものの、学業と仕事を両立させる自信がなかった。現に今も赤点を免れるのが精一杯の状況だった。
一方、友美は進学については全く問題ないと担任から太鼓判を押されてはいるが、彼女には彼女なりの悩みもあった。
進学の費用は援助すると友美の両親は言ってくれてはいるが、暮谷家に居候している身としては、少しでも暮谷家の家計を助けたいと思っていた。
麦の稼ぎは決して安定しているとは言えない。今ある連載が打ち切られてしまったら、収入はゼロになってしまうのだ。佳衣も結梨もそれぞれ専門学校と短大へ進学を希望していることは知っていた。だから余計に自分が稼いだほうがいいのではないかとも思った。
実は、友美が暮谷家に暮らすようになってから、両親からいくらかの仕送りを受けてはいるが、そのお金はもしもの時のために残している。
麦に相談したら「進学した方がいい」と言われるだろう。しかしそれで麦の負担が重くなるのは心苦しかった。
二人とも結論を出せぬまま、ずるずると冬を迎えた。
「ヤッホー! メリークリスマース!」
そんな気の重い日々が続く中でも暮谷家では毎年恒例のクリスマスパーティーが催された。
手作りのクリスマスケーキを千秋が持参し、佳衣と結梨が唐揚げを山のように皿に盛り付けた。友美もオードブルやバーニャカウダを作って食卓に彩りを添えた。
「残念ながら今年はアルコールなしでーす」
「今まではアルコールありだったの」
佳衣の発言に友美は目を丸くした。
「シャンパンはアルコール入りのじゃないとおいしくないけど、お姉様がまたご乱心になっちゃうからね~」
結梨が意地悪そうに言った。友美の脳裏にまた酒乱になった自分の醜態がよぎった。
「う~っ。未成年はお酒飲んじゃダメなの!」
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