第一話 異世界転移はトラブルとともに

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第一話 異世界転移はトラブルとともに

 ふと目を開けると、そこは空中だった――  俺は今まで部屋に居たはずだったのに、突然耳を圧迫する程の大音量が鳴り響いていた。  風を切る音だ。  更には呼吸もままならない激しい風圧に襲われて、顔の筋肉が千切れそうになっている。  どうやら激しい勢いで落下しているようだった。 「ふぁ――!? 一体どういうこと――!?」  俺の動揺は全身に伝わって、バランスが崩れた体は、ぐるんぐるんと空中でコマのように回転し始める。  地平線、青い空、緑の森、白い雲――  回転する視界に、次々と映し出される風景。  確かこういう時は、体を大の字に広げれば姿勢は安定した筈。  いつかテレビで見たスカイダイビングの知識を頼りに、思い切って両手両足を広げてみた。  しかしタイミングが悪かったのか、俺の体は仰向け状態になってしまう。  そしてその視界に飛び込んできたのは、遥か頭上で煌いている二つの太陽だった。 「ふ、二つ――!?」  そして、視界に飛び込んできた手足が青いことに気がつく。  それはとても見慣れた鮮やかな青色だ。 「これって……もしかしてナノスーツなのか!?」
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