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死ぬ――
真っ白な頭の中で、恐怖だけがはっきりと浮かび上がった。
「ボイスコマンドオーダー……」
俺は無意識のうちに、そう呟いていた。
ボイスコマンドオーダーとは、ゲーム内でメニュー画面を開くための音声コマンドだ。
ゲーム内に存在しない風景の筈なのに、ゲーム内の衣装を纏っているという違和感が、そう俺に呟かせたのかもしれない。
どちらにせよ、自分の胸元にメニュー画面のホログラフが浮かび上がったのを見た時には、藁にもすがる思いで「兵装」をタップしていた。
ゲーム内では三種類のABCスーツと呼称されるパワードスーツが用意されていて、最初に表示された「アルティメットストライカー」をすかさず選択した。
眼下には杉の木を連想させる巨木の先端が剣山のように迫っていた。
もう間に合わない――
そう諦めかけた時、周囲に光る粒子となってABCスーツの各部パーツが浮かび上がったかと思えば、
ガチャンガチャンガシッカチャシャキーン!!!
と、小気味よい音とともに全身を包み込んでいく。
そして大森林に吸い込まれたのはほぼ同時だった。
「――ぐほうっ!」
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