第一話 異世界転移はトラブルとともに

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 ゲーム内ではミッション中のリロードは無限だったので、転移してからもそれが有効だと信じたいところだったが、その確認はぶっつけ本番でチェックするしかないようだ。  俺は覚悟を決めて木陰から飛び出すと、HAR-22の銃口を双頭の豹に向けて引き金を引いた。  ダァン! ダァン! ダァン!  と、乾いた銃声が数発、森の中に鳴り響く。  少女に飛び掛ろうとしていた双頭の豹は、弾かれたように後方へ退く。  巨体に似合わぬ俊敏な動きだ。   「今のうちに俺の後ろへ――!」  俺は少女にそう呼びかけながら追撃の手を緩めない。  というか、今俺の口から飛び出した言葉は聞きなれない言語だった。思考は日本語なのに。  おかげで頭が少し混乱しかけるが、今はそんな場合ではないのでスルーすることに。  それに金髪の少女には俺の言葉はしっかりと届いたようで、こちらに向かって走ってくる姿を確認すると、再度HAR-22を発砲。  ズダダダダダダダダダダダッ!!!  引き金を深く押し込むことでHAR-22は連射モードへと切り替わって、怒涛のように弾丸の嵐をばら撒く。  それでも双頭の豹は機敏な動きで弾幕から逃げ回っていた。 「意外と俊敏なのは感心するけどさ――!」  アサルトライフルの制圧射撃で、豹が攻撃に転じないようにしっかりと牽制する。     
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