嫌だったと気づいてみれば

5/7
前へ
/509ページ
次へ
そんな彼女に、グイドが相変わらずの憎まれ口を叩いてくる。 もっとも予想はしていたので、恵理はやれやれと思いながらも口を開いた。一応、相手は準貴族なので最低限の敬語を使う。 「働かないと、生きていけませんから」 「だったらあの時、俺に頭を下げてりゃ良かったじゃないか。そうしたら帝都を出て行くことも、田舎で苦労することも」 「仕事は冒険者だけじゃありませんし、住むところも帝都だけじゃありません」 答えながらも、そもそもグイドに頭を下げてまで冒険者を続け、帝都にいたくなかったのだと思う。
/509ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2641人が本棚に入れています
本棚に追加