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まず初めに言うと、私は自縛霊という存在である。
事の顛末。それは何てことも無い、最近の死因ではよくある過労死だった。
死にたいと思いつつも自分で死ぬことが怖かった臆病な自分が緩やかに死んでいくには、もうそれしか無いだろうなと諦めていて。数年前に業界ではリストに載っている程ブラックな企業に就職してしまったのが運の尽き。平凡に静かにそこそこの収入で小さな幸せを見つけながら暮らしていきたい、という希望は勤めるうちにあっさりと消え。それからひたすら、死にたい、ばかりが口癖になって。よくもまあ数年ももったものだと自分でも思う。
職場に寝泊まりしながら、完全に痩せ細った身で毎日毎日無駄な残業ばかりして。早く死にたい、まだ死なないのかと、死ぬ為に働いているようなものだった。リストカットや首吊りなんて物騒で痛そうなこと、怖くて出来る気がしない。かと言って海外に安楽死の薬を貰いに行くにもその為の休みがもらえない。書類上では休みが貰えたことにはなっているが、現実は休みの日も出勤して夜には職場で椅子三つ並べてその上で寝ると言う地獄の極みであった。
緩やかに、緩やかに。なるべくなら眠っている間に死んでしまいたい。
そう思っていた自分が、その願いの通りに死ねて。次に目を覚ましたのは自宅であるアパートの一室だったというところから、この"ずんどこはいむ事故物件404号室"の名がオカルト界隈で広がるきっかけになったのだった。
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