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今の波瑠夏はもう、厚顔無恥にはなれないし、何の根拠もなしに自信を持つこともできない。嫌になるほどつまらない人間。何をしても平均かそれ以下で、凹むことばかりだ。自分を卑下しているわけではなく、それが隠しようのない事実なのだ。悲しすぎるくらいに。だから、少しでもマシに見えるように、必死に鍍金を塗りたくる。そしてそれが剥がれてしまうことを恐れて、常に、塗った全身に神経を張り巡らせている。すごく疲れるけれど、平均以下の自分を見破られるよりはマシ。本当はそんな意地、つまらないだけだということを、薄々わかっていて、うんざりしたりもするけれど、どうしようもない。これが今の自分なのだ。そして自分を変えることは、想像以上に難しい。
取り立てて美人でも、可愛くもない容姿。ピンからキリまである大学の、どのレベルなのか考えたくもない内の一つに何とか入れただけで、頭も良くない。人と比べたことはないけど、友人は多くも少なくもない。広く浅い付き合いができる社交性もなければ、狭く深い付き合いができるほどの根性もない。
何か一つ極めたと言えるものなどあるはずもなく、他人に自慢できるモノも皆無。自慢できるモノを自身が持っていないのならせめて、友だち自慢か彼氏自慢ができればいいのだけれども、特筆すべき友人はいない。類は友を呼ぶのだ。恋人にいたっては、五時間ほど前まではいたのだが、今はいない。だから自慢のしようがない。というか、あれは、そもそも本当に恋人だったと言えるのか、わからなくなった。
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