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でも俺はその時、生きる意味を見出だした。
それは何時も俺に寄り添ってくれる人の存在を知ったから……
俺はこの人のために生きようと思ったんだ。
姿をくらませたあの養父のような、俺が信頼出来る相手だった。
そう、それが有美だったのだ。
有美は俺の初恋の人だった。
だから俺は耐えられたのだ。
「君は何時も虐められているね。辛くないのかい?」
ある日フリースクールの担任に声を掛けられた。
俺は黙って頷いた。
でも有美と離れたくなかった。
「大丈夫です」
俺は強がってみせた。
「何時でもいいから」
担任はそう言いながら肩を叩いた。
(あれっ、今有美が居たような気がする)
ふと、そう感じた。
そうなんだ、有美は何時だって傍にいてくれるんだ。
(まるで俺の影みたいだな。きっと有美も俺のことが好きなんだ)
何気にそう思った。
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