不『運』な放課後

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   こういった事態に遭遇するのは慣れていた。しかしその度に自分の体質を再確認させられているようで気が滅入ってしまう。  運勢が色彩として見える僕の共感覚は当然、自分の色も認識できる。ここで自分の色が他の人と同じ凡庸な色だったりしたなら僕はここまで自分の体質を呪ったりしなかったのかも知れない。  僕の色は黒だ。それも生まれてこのかた、変わったことのない真っ黒。僕以上に色の濃い、要するに運の悪い人を僕は見たことがない。  じゃんけんで勝ったことがない。当たりを引いたことがない。買ったばかりの靴はよく靴紐が切れる。些細な事から命に関わる事まで、これまでの不幸エピソードを上げればキリがない。  そして僕の不運は、僕以外の人も巻き込んでしまう。今回の照明みたいに、周りに人が誰もいなかったのは幸いだったが、例えば僕が誰かと一緒だったとすると、被害はその誰かにも及ぶのだ。    もしもこの体質がなかったなら僕も一緒に被害者になれるが、見えてしまってはそうもいかない。  僕は不幸を回りに振りまく加害者なのだ。
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