吾輩は魚が大好きである

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吾輩は魚が大好きである

 それから暫くして、ギロは艶のある尾びれを取り戻し、ついに元の水槽に戻ることになった。ザブンと勢いよく放り込まれ、ギロの体は水槽の水の中に吸い込まれていく。すぐにそこがどこなのか分かったようで、勢いよく水槽の中を泳ぎ出した。  その様子を吾輩は恨めしく眺めていた。  すると、平和を取り戻しのんびりと泳いでいたちいちゃんと鉢合わせになってしまった。  吾輩はちいちゃんの様子を随時観察していたから、その気持ちが手、いや、前足に取るように分かるようになっていた(と、信じている)。  ギロが最初にちいちゃんを見つけるとまずは睨みをきかせた。ちいちゃんは一瞬、ビクンと身体中をこわばらせ、慌てて水底に潜り込んだ。  そして暫くじっとしていて、何かを考えていたようだった。 どれくらい時間が経ったのだろうか、忍耐強い猫である吾輩ですら、長いと感じたくらいだ。  すると突然、ちいちゃんは意を決したようで勢いよく泳ぎ出した。  ギロが泳いでいるちいちゃんに気づくと、さっそく追いかけてきた。  するとちいちゃんはぶくぶくの反対側に回り込み、ギロが見失ったところで一気にぶくぶくの泡を突っ切り、ギロに襲いかかった。     
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