17人が本棚に入れています
本棚に追加
ここは死神達が標的と呼ぶ、
霊達が行き着く天国催し物広場。
天国に相応しい煌びやかで広大な場で、
天国門通行許可手続きセンター隠密課担当の、
泰山王主催の2・26事件反乱兵同窓会が開かれていた。
かつて人型標的として猛威を振るいつつ、
今や死神に就任した萩大虎軍曹は、
当然将校や士官達から注目の的だ。
「聞いたぞ萩!随分と暴れ回ったらしいな!」
「はっ、渋谷三郎大佐!我ながらお恥ずかしいばかりで…」
萩軍曹も生前の上官の前では、
大きな体躯の虎も猫同然だ。
「しかし腕を買われ、死神になるとはな…」
「大虎は萩家一の出世頭じゃ!」
特別に呼ばれた萩大虎の父と祖父も、
息子や孫の飛躍を喜んでいた。
「このこのー!我らも死神にせい!」
「ははは!父上祖父上!安藤歩兵大尉!お戯れを!
存命の盟友の陸攻と違って皆死んだと言うのに」
上官達に肩組みされ、
始めて満面の笑みを浮かべる萩。
彼を討ち取った女忍者死神にして、
アオザイを着こなす暗行神美と、
貴族鬼神にして、
普段通り狩衣の八橋文麿は驚きを隠せない。
最初のコメントを投稿しよう!