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「またぶった! 何もしてないのに、ひ~ん」
「脳内でディスられたような気がしたのでな」
悪びれる様子もなく頭を掻いてフケ飛ばしてる。
あぁっ、くっせー足のウラでウチのお気にの、よもぎもちクッション踏んづけてるし! つかさ、
「なにナチュラルに私の寝床に押し入ってきてんの!」
この激ボロでダサいアパートは四畳半一間しかなく、乙女のプライベート空間を守るためにはカーテンつけて区切るしかない。にもかかわらず、こいつというこいつはぁ、なに食わぬ顔で禁忌を犯してくれやがってぇ~!
「いや、アラームがいつまでもうるさいので仕方なく」
「もういやぁ出てってよぉ! このどちゃくそヘンタイ野郎ぉ、パジャマみないでトランクスみせないでぇ!」
そこらのものを手当たり次第つかんでは投げつける。まくら、ふとん、ぬいぐるみ、掃除機、TV、冷蔵庫。あらゆるものが部屋を飛び交い、とっ散らかってゆく。
「落ち着いてくれ、そあらくん! 出ていけったって、ここは俺達の共有の住みかではないか!」
舞い上がる埃の向こうから制止の声が聞こえるけど、それは逆効果の台詞だ。
「それ言うんならルールは守れ、アホバカヒーロー!」
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