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朝霧漂う住宅街を、ぼやきながら行く。
それにしても二人暮らしでも結構ゴミが出るもんね。両手に二袋ずつか、まぁ軽いもんだけど。
問題は時間だ。うちのアパートからだと集積場所まで地味に距離があり、ちんたら歩いてたら間に合わない。
駆け足で曲がり角を通る。
そしたら偶然イケメンと衝突! なんて事はなくて、代わりに怪人がいた。10メートル前方で両手を広げて立ちはだかるそいつは、いかにも露出狂の変質者じみたトレンチコートを着込む角刈りの男。サイボーグタイプであるらしく、顔の右半分の肌は鈍く光る鋼鉄製、目に当たる部分は三連装のスコープとなっている。
「グワハハ! ここで待っていれば来ると思ったぞ! 我が組織『クロウザー』が誇る情報分析班によるとだ、この自治体において貴様らのアパートから最も近い集積場所はこの一本道の先! 他に道はなァい!」
自慢げに邪悪な高笑いしてるけど、住所知ってんならまずそっち攻めればいいじゃん。
「グワハハ! 我が名は怪人スコープマグナム。貴様があの大地コウシロウのオンナである事は調査済みだ! 大人しくついてこいよ。今から貴様をさらって奴を誘き寄せ、抵抗の気力を奪ってから……ちょ待て待て待て」
「え、なんスか?」
長台詞の間にスコープマグナムさんの隣を通り抜けていこうとしたら、なんか必死の形相で呼び止められた。
「どこ行こうとしてるんだ。話聞いてたのか」
「いやいや見てわかんないかなー? ゴミ捨てに行くに決まってんじゃん。あと悪いけど私って魔法少女だから特撮系の怪人は管轄外なんで、ヨソあたってくれる?」
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