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今度は外さないように。
新兵器が人に当たれば一体どのような惨劇となるのか。
そのデータを取るために。
「永住権を求める者は殺しておけばいいと気がついてしまったのですよ。なんせ永住権と宇宙旅行では費用が十倍も違いますから。それに宇宙へ行ったきり帰ってこない者より、宇宙旅行を楽しみ、そしてその楽しみを他のジャスク人に言いふらして労働意欲を高めさせるジャスク人のほうが有用だと気づいてしまったのですよ」
「じゃあ、他の皆は……宇宙に行った皆は?」
「もちろん、第七号宇宙永住者以降は全員死んでしまいましたよ」
「そんな……冗談だと……言ってください……」
涙が溢れる。
自分は一体何の為に頑張ってきたのか。
宇宙に行けるという夢だけを見て頑張ってきた。
それなのに、この仕打ち。悔しくて涙があふれ出てくる。
「泣かないでくださいよ、私だって君のような労働意欲に溢れ夢を追う少年を殺したくはないのですから」
そしてクラウスは引き金に指をかける。
「さようなら少年、君の努力は大いに我が社の利益となりました」
そしてクラウスは引き金を引き、弾はスラムに当たり周囲を爆煙で満たした。
「やはりいいですねこの新製品『星の石』のエネルギーを使用して炸裂弾を放つこのコンセプト、まったく我が社の兵器開発部はいい仕事をしますよ。それにしても宇宙で暮らしたいなんてバカな夢をみる子は哀れですね。哀れすぎて笑えてきますよハハハハハ!」
笑いながらクラウスは、バラバラになったスラムを見ようと土煙に目を凝らすと――
――彼は居た。
「人の夢を! 笑うんじゃねぇ!」
土煙の中、そこに居たのはルイスを背に、岩山をも砕く弾丸を受け止めていたカズだった。
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