2話

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 これといった会話もなく、ただ歩き続けた一行は一時間もすると大きな町に着いた。 「私たちが今いる場所はここで、ギャングはこの町の反対側にいます」  一軒の家に入り、リリルは町の地図を取り出してどこまでがギャングの領域か、自分たちがどの位置にいるのかを書き記す。 「なるほど」  ルージュはカズ、ルイス、伽羅を順に見てため息をつく。 「伽羅、偵察に行くよ」 「あら、私でいいのかしら?」 「消去方よ、カズを連れて行けるわけないでしょ」 「おいルージュ、何で俺がそんな扱いなんだよ」 「アンタが見境なく暴れるからでしょ、とにかく敵戦力を測るまではここで見つからずにじっとしていてよね」  不服そうにするカズを見て、ルージュはまたため息をつく。 「ルイス、こいつ見張っててね」  そういい残し、ルージュと伽羅の二人は家を出て行き、カズは不服そうに棒つきキャンディーを咥えた。飴を舌の上で転がしながらカズはリリルに目をやる。 「なぁお前さ、慣れたなんて言ってたけどよ、本当に平気なのか?」 「平気ですよ……よくあることでしょ」 「じゃあお前は、なんで助けを求めたんだ?」 「この星に住む皆のためにアナタ達の力が必要だったからです」 「ふーん、じゃあお前はそれで良いわけだ……」 「カズ……?」  見るからに興味を無くしていくカズの様子をみてルイスは息を呑む。 「ルイス、俺ちょっと出てくるわ」  カズは立ち上がり、そして家のドアに手をかける。 「ちょっと、ルージュにおとなしくしてるように言われたでしょ?」 「別にどこかへ逃げるつもりはねぇよ、ただ今回は乗り気じゃねえってだけだ」  ドアを開け、付け加えるように一言言い残す。 「それに俺たちは海賊で、正義の味方ってわけじゃねえぞ。ルイスも、それをよく頭に入れておけ」  いつもの様子からは考えられないような冷徹な言葉を吐き捨てたのを最後に、カズはルイス達の視界から消えた。  一人取り残されたルイスは不安そうな表情を浮かべてリリルを見る。  その表情からはうまく感情が読めないが、だがカズの言葉に少し思うところがあったのか少し悲しそうに見えた。 「大丈夫?」 「別に何も思ってませんよ……私は……」  そう言って、リリルは背を向けて頬を拭った。
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