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荒野の星コーネリア、見渡せば隅々までが砂地で覆われ岩山しかない。
「なんにもねぇなぁ! この星!」
コーネリアへの第一歩を踏み出したカズは声をあげる。
「カズ、うるさい! 連絡してきた人はこの近くで待っているらしいからおとなしくしていて!」
カズに怒鳴りながら周囲を見渡すが人影はない。
「おそいです、アナタ達……」
突然沸いた声に驚き辺りを見回すが特に人影はなく、ルージュは首をかしげた。
「どこを見ているんですか、ここですよ」
声が下から出ていることに気付き、目を落とす。
すると目の前にあった地面が陥没してぽっかりと小さな穴が開き、そこから少女がひょっこりと顔を出した。
「待ってましたよ、私が船長に連絡をつけたコーネリア人。リリルです」
自らをリリルと名乗った少女。
赤く濁った瞳と、肩の周りで切り整えられボブカットになっている髪。綺麗な肌と唇で、顔は端整そのものであるのだが、その目は不審を表すような色。
「えっと、まさかとは思うけど、あなたウチのボスと知り合いなの? キング船長と?」
「そんなわけないでしょう、海賊なんて見たことありません」
その言葉に、ルージュはさらに疑問を浮かべる。
「じゃあアナタどうやってウチの船長に連絡つけたの?」
「私の義父がキング船長と知り合いだったんですよ。そんなことより行きましょう、我家へ案内します」
淡々とリリルは歩き出し、その後にルージュと伽羅は続く。
「アンタ達、置いて行くわよ!」
走り回るカズとルイスに声をかけ、ルージュはまたリリルを見る。
「いくつか質問があるんだけど、いい?」
「はい」
「アナタの義父がボスと知り合いなら、なぜアナタが連絡を?」
「義父はつい先日ギャングに殺されました、」
「あ、そう、なんだ……」
「ギャングに占領されてからは毎日のように誰かが殺されていましたから、実の家族も殺されていましたし。もう慣れました」
淡白に答えるリリルの姿にルージュは少し難色を見せる。
「そんなこと、慣れるモンなのか?」
どの辺りから聞いていたのか、カズは無頓着そうに尋ねた。
「ちょっと、アンタ!」
ルージュはカズの頭に拳骨を食らわせて黙らせる。
「慣れないと、やってられないんですよ……」
尚も淡々と答え続けるリリルの後姿を、カズはただ黙って見ていた。
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