2話

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 ルージュが所有する小型宇宙船。その前でカズとルイスは二人並び立つ。 「待ちくたびれたなルイス」 「そうだね」 「ルージュはいつも遅いな」 「女の子だし仕方がないよ」  他愛のない会話を続けていると、 「カズちゃん、久しぶり」  突如声が降ってきて、見上げると底には一人の女性が居た。 「おー、伽羅じゃんか! どうしたんだ?」 「ウフフ、今回船長ちゃんに同行するよう頼まれちゃった」  声をかけた女性の名は――伽羅。  ポニーテールでまとめられた腰まである赤色の髪。体のラインにぴったりと沿った黒い細身の服を着ていて、丈は足元まで伸びているが腰骨辺りから入るスリットのおかげで移動になんら支障のない構造をしている。 「そうなのか、そりゃいいな! 紹介するよこいつはルイス最近になって入った新人だ」 「はじめまして、私は伽羅。よろしくねルイスちゃん」  カズよりも身長が十センチほど高い伽羅は、前かがみになってルイスの目線に合わせて自己紹介をした。 「は、は、は、はじめまして……」  しどろもどろになりながらも自己紹介をしたルイスに伽羅はニマリと笑う。 「きゃー、この子可愛い! ねぇカズちゃん、この子貰っていい?」 「駄目だ、ルイスは俺の部下なんだからな!」 「えー、意地悪いわないでよー」 「何してんだ?」  第四者の声がして振り向くと、不機嫌そうな表情をしたルージュが立っていた。 「あら貧乳ルージュじゃない、どうしたの?」 「殺すぞこの女!」  判りやすい挑発に乗ったルージュは、伽羅目掛けて飛び掛る。  しかしそれはカズによって阻止され、騒ぎ立てたまま宇宙船へ押し込まれた。 ――錠星。  別の名を鎖国というこの政策は。  星の長が決める政策の一つ。一部の例外を除いた貿易や文化交流の一切を制限し、宇宙から進んで孤立という道を選ぶ政策である。 「今回私たちの任務はこの錠星を行っている惑星コーネリアを開錠すること。現在コーネリアはギャングによる圧政が続いているわ」  だから、とルージュは一区切りをつけ、 「今回解錠する具体的な手段は、コーネリアを支配しているギャングを制圧すること。まず偵察をして具体的な戦力を見てから応援の数を決めるから、暴れるのは応援が来た後! わかった? 特にカズ!」 「おう、わかった!」 「返事はいいのよねぇ……」
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