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「なるほどな」
ルイスとリリルの表情を見てダガーの仮説は確信へと変わった。
「ようやく読めたぞ。そこのコーネリア人の娘! 貴様、先日殺した男の関係者だな」
「先日……殺した男……? まさか……義父さんのこと?」
「なるほど、貴様あやつの娘か。となると先ほど殺したあの者も、そしてそこに居る貴様も、貴様から連絡を受けてこの惑星に来たのか」
リリルの表情がどんどん絶望へと変わっていく。
自分の義父を、
自分をあの地獄から救い上げてくれた義父を、
殺した男が目の前にいた。
「あなたが、私の義父を……殺したの?」
「さっきからそう言っているではないか、まったくおとなしく奴隷として仕えていれば、少なくとも死なずに済んだ物を」
絶望に腰を抜かして、リリルは座りこむ。
「殺してやる」
リリルはその憎しみを、その恨みをダガーにぶつけた。
「口ではなんとでも言えよう。ではさらばだ、反逆者は殺さなくてならないのでな」
ダガーはまた腕を前に出して中指と親指をぴたりと着ける。
そして指を弾こうとしたその瞬間、リリルの前にルイスが立ちふさがった。
「カズを殺したって言った?」
怯えた声でルイスは尋ねる。
「左様、私の能力の前に奴は虚しく散った」
「嘘だ!」
そう叫んでルイスは拳を握り、ダガーへむける。
「嘘なものか、そこにある崩れた家の先に死体が転がっているだろうよ」」
「カズは僕を守ってくれたんだ、簡単に死ぬわけ無い!」
「くだらんな」
言い終えると同時にダガーは指を弾き、爆風がルイスを襲う。
吹き飛ばされたルイスは数メートル空を舞い、重力によって地面に叩きつけられた。
「うぐ……!」
「貴様には聞きたいことがある、だから少し寝ておけ。さてと、待たせて悪かったな」
ダガーはリリルに向きなおし、その殺意と憎しみの感情で濁った目を見つめた。
「ふむ、その殺意に満ちた目、たまらんな。恨むことしかできない気分はどうかね?」
そして、ダガーはまた腕をだして指を構える。
「まぁその気分を味わって死んでくれたまえよ」
――ごめんなさい義父さん、仇を取れなかった。
リリルは胸の内でそう呟き、目を閉じる。
その恨みを胸に秘めて、義父や両親の元へ行く覚悟を決め、膨張する空気と、襲い来る衝撃に身を構えた。だが爆発は一向に起こらず、リリルは恐る恐る目を開ける。
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