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衝撃をもろに受けたダガーの骨と内臓は嫌な音を立て、そのダメージをダガーへと伝えた。
「ぐはっ……」
膝から崩れ、腕を突いてなんとか倒れずすんだダガーは目を見張る。
「なぜ私の爆発が悉く……」
立つことも間々ならないダガーの姿をみて、カズは背を向けてリリルの前に行き膝を突いて目線の高さを合わせた。
「俺はお前の言葉を何一つ聞いてねぇ」
真っ直ぐ、リリルの目を見てカズは口を開く。
「お前自身の言葉を聞かせろよ!」
曇りなく、自分を見つめるカズの目に、リリルはゆっくりと言葉を繋ぐ。
「私だって悔しいんです」
声は震えて、大粒の涙は頬を流れる。
「家族を殺されて、一人になった私を拾ってくれた義父も殺されて、私に力があるなら復讐してやりたいって、ずっと、悔しかったんです。だから、もしアナタ達に力があるなら……」
その言葉は、ずっと強がっていた。
ずっと気を張って、気にしてないフリをしていたリリルの、
心からの言葉だった。
「助けて……下さい……」
その言葉を聞いたカズは、優しい笑顔を浮かべてリリルの頭を撫でる。
「そうやって泣けばいいのさ、そうやって泣いて、助けを求めりゃいいんだよ。つまんねぇ意地なんか張らずに、悲しいなら泣いて「助けて」って言えばよかったんだよ。まあ何にせよ」
カズは立ち上がり、ダガーに怒りの感情を向けた。
「任せとけ!」
その迫力に圧されたダガーは怯えるように後退りする。
「やっ、やめておけよ。なぁ、私はオークファミリーの最高幹部だぞ。この私に手を出せばファミリーが黙っちゃいない。今ならファミリーへの報告もしないし、貴様を攻撃したことも謝る、だから頼むっ! 許してくれ!」
情けなく命乞いをするダガーを無視して、カズは一歩ずつダガーへ近づく。
「もう喋らなくていいよ」
カズは拳を握り、ダガーとの間を詰めた。
「リリルが俺に助けを求めたら、俺はお前達をぶっ飛ばすって決めてたんだ」
そして、カズは腕を振りかぶり
「やっ、やめてくれぇ!」
ダガーの顔を打ち抜いた。
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